瞑想や坐禅をして膝痛にならないための4つのポイント
以前は坐禅を組めていた方が
いつの間にか椅子坐禅に変わっているのをしばしば見かけます。
膝を傷めたからです。
椅子坐禅でも坐禅はできますが、膝を傷めないに越したことはないです。
これをやると膝を痛めませんー動かない・すぐに立たないetc.
坐禅をして膝痛にならない方法と膝痛を治す方法をご紹介します。治す方法は次回になります。
現代に生きる悟りを開いた人という記事を読む
(1) 坐禅を組んだらもう動かない
坐禅を組んだら不要な動きをしないことです (この石像のように目を開いて坐禅をします)
坐禅を組んで左右揺身して坐を決めてしまってから、身体を動かすと膝が痛くなります。
特に自宅や自坊で坐っている場合、脚を組み終わってから、タイマーを近くに寄せたり、膝を組んだまま近くの物を動かしたりすると、上半身の重みが片方の膝だけにかかり膝を傷める原因となります。
1時間そのまま平気で坐禅を組める人でも、脚を組んでから少しでも身体を動かして物を取ったりすると、1時間がきつくなります。動くと持続時間が短くなります。
なので、物を動かしたりする時は、面倒でも組んだ脚を解いてからにします。
そして、脚を組んだらもう動かないことです。
上半身の重さってかなりあります。それが真上からずれると、モーメントの力で腰や膝にかかりますから、すごい負担となるわけです。
なので、上半身を真っ直ぐにし、頭を肩の上に置く(耳が肩の上に来るようにする)などのことが昔から『普勧坐禅儀』(ふかんざぜんぎ)などで言われているのです。
左に傾いたり、右に傾いたりしないようにします。
身体にできるだけ負担がかからないようにするのです。血流も良くなります。
眠気も起こりにくくなります。
たとえば電車に乗って眠くなる人はどちらかに決まって身体が傾きます。前に倒れて眠るか右側に倒れて眠るか、人によって癖があります。
坐禅中にその方向に身体が傾いていると睡魔が来やすくなります。
ですから、自分が左に倒れるタイプだと分かったら、坐禅の姿勢が左に傾いていないかチェックして下さい。
今はスマホなどを活用して写真や動画を撮れば簡単にセルフチェックができます。
1炷40分間の坐禅中の姿を動画に撮ってみればあらたな発見がありますよ。
三脚の上に下図のような数百円のスマホホルダーをつけて撮影します。
40分の間に (別に40分でなくても良いのですが、自分の坐禅の姿勢がどんな感じか、そして居眠りをしていないか確かめるにはそれくらいは長い方が良いですね)
意外に居眠りをしている自分に気づくかもしれません。
ガッカリ来るかもしれません。
そしたら、そこがスタートです。
自分は少しも坐禅をしていなかったと気づくことが大切です。
(2) 坐禅が終わったら急に立たない・慌てて立ち上がらない
まずは左右揺振をする
ゆっくりと左右に身体を揺すって左右揺身 さゆうようしん ←このページ中程に図解あり をします。
井上貫道老師や井上哲秀老師(哲玄老師の法嗣)の左右揺身(さゆうようしん)を現場でぜひ振り返って見てみて下さい 最大左右に8回まで(左右左右で4回と数えます)とされています。
お二方とも実に丁寧にされます 井上哲秀老師のは若いということもあって美しいです(この方の食事の仕方も大層美しいです 食器の綺麗さのレベルが芸術品です 洗鉢の時のお湯も一滴も机にこぼれません)
↑手を膝の上に置いて左右揺身さゆうようしん(曹洞宗総持寺流)
↓手は法界定印(ほっかいじょういん)のまま左右揺身さゆうようしん(曹洞宗永平寺流)
管理人は雲水(修行僧)の頃、結跏趺坐を組んでいて、独参の鐘がなったらいきなり結跏趺坐を外して独参に行くために走り出しましたが、20代、30代だから良かったものの、同じことを中高年になってやれば確実に膝を痛めます。
↑手を膝の上に置いて左右揺身さゆうようしん(曹洞宗総持寺流)
↓手は法界定印(ほっかいじょういん)のまま左右揺身さゆうようしん(曹洞宗永平寺流)
管理人は雲水(修行僧)の頃、結跏趺坐を組んでいて、独参の鐘がなったらいきなり結跏趺坐を外して独参に行くために走り出しましたが、20代、30代だから良かったものの、同じことを中高年になってやれば確実に膝を痛めます。
左右揺振の次は坐蒲ざふ の調整をする
左右揺振さゆうようしん が終わったら、手を使ってゆっくりと脚を解き、それから、坐布の周囲に体重をかけてぺちゃんこになった坐布をまるく成型して(これが膝の為にも時間稼ぎになります)からユックリと立ち上がります。
膝を伸ばしてからゆっくりと立ち上がる
膝の関節が元の伸びた状態に戻っていない状態で体重がかかると膝を傷めることになります。
坐禅会では、上記の左右揺振や坐蒲(坐禅用の丸いクッション)の整形などの一連の動作をキチッとやらずにすぐに立ち上がっている人たちが居ると、それに合わせようと慌てて立ち上がる人がいますが、中高年以上は慌てて立ち上がっていはいけません。
膝を傷めたり、めまいになったりします。
一度膝を傷めると年齢的に慢性化してしまいます。
日本人はそういうところで他人に合わせないといけないという意識があり過ぎますが、立ち上がっている人を待たせていいのです。全然構いません。
大体坐禅中に居眠りしている古参のベテランが、左右揺振もせずに一番にパッと立ち上がります。
僧堂の場合は、単と言って、床より高いところに坐禅牀(ざぜんしょう)があります。これは大変うまくできていて、坐禅が終わって左右揺身して坐布を直して、身を反転して下に降ります(これを下牀(あしょう)と云います)が、その時に膝が伸びています。
膝関節が伸びた状態になってから、関節に体重負荷がかかるので、膝を傷めることがないのです。
しかし、一般の寺院や禅堂や自宅では、坐禅している面が床ですので、坐禅牀と床が同じ高さなので、膝が曲がったまま体重がかかることになります。だから膝を傷めやすいのです。
(3) 膝関節を冷やすと膝を傷めるので、膝を冷やさないようにする
膝関節を冷やすと血行が悪くなります。なので、立ち上がった時に膝が不利な条件下で圧迫を受けることになり、膝を傷める原因になります。
特に冬季は気温の低い部屋でする時は、膝の頭にタオル1枚乗っけるだけでもいいので、膝を冷やさないようにしてください。(室温が高い部屋は眠くなるのでおすすめではありません)
膝(lap)掛けをすると暖かすぎて眠くなる可能性があるので、膝(knee)の頭だけを覆うのが良いです。
以上まとめると、
1. 結跏趺坐や半跏趺坐を組んでから上半身を動かすと、上半身の重さが一方の膝にかかり、膝を傷める要因となる
2. 膝は伸びきらないうちに体重がかかると傷みやすい
長い文章になってしまいましたが、ぜひ(1) (2) はしないようにして膝を大切にしてくだい。
3. 膝関節を冷やすと膝を傷める
(4) 坐禅中は、座布団を敷き、その上に坐布(丸いクッション)を置いて坐る
道元禅師の『普勧坐禅儀ふかんざぜんぎ』にも書いてありますが、
「坐処には厚く坐物(座褥(ざにく=座布団))を敷き、上に蒲団(ふとん=これが現代で言う坐布ざふ=丸いクッション)を用う」です。
写真・図解で示すと、
できれば、この四角い方の座布団は世間で入手できるより、もっと大きいものを用いないと膝がはみ出てしまい、身体が不安定になったり、膝が冷気から守られなかったり、坐禅中に身体が滑る原因になります。
理想的には、88cm×80cmくらいのものを特注すると良いです。個人的に特注すると1万円近くかかったり、布団の中身が綿だけで作られてすぐにペシャンコになったりするので、そこは先人の知恵を拝借しましょう。
管理人も昔は専門道場に置いてある古いの新しいのなど、結構色々探しました。
今は、神戸坐禅会というところが、専門家のアドバイスも得て、大変座りやすい座布団を頒布されています。
詳細については、
http://zazen.blog.jp/archives/1070181159.html
をご覧下さい。
この座布団を入手することが出来ない方は、通常の座布団を使い、その上に少なくとも丸いクッションか、または、二つ折りにした座布団を使用してその上にお尻を乗せるようにしてください。
丸いクッションより普通の座布団二つ折りが合う人もいる
悟りの体現者の東京の松本自證老師は、座蒲(ざふ=丸いッション)よりは、二つ折りの座布団が身体に合っていたそうです。
臨済宗の寺院では二つ折りの座布団を使っていますね。
臨済宗の専門僧堂では、長い布団を特注してそれをお尻の下だけ3重になるように折り、さらに枕状の一枚をお尻の下に敷いて坐禅をしていますが、5万円くらいします。
法衣店儲かっています。
片膝が浮く場合があります
その場合、浮いた片膝の下には、フェイスタオルなどを折って下にかませると左右のバランスが取りやすくなります。
坐禅中、脚を組んでいると膝が痛い
結跏趺坐なり半跏趺坐を組んで坐禅すると慣れないうちは、脚が痛いことがあります。膝(knee)というより、膝(lap)つまり太ももが痛いのです。これは、脚を解くとすぐに痛くなりますので、大丈夫です。慣れてくださる必要があります。
7日間接心なんかに参加すると、3日目くらいが一番脚が痛いものです。
4日目になると楽勝で脚が組めるようになります。身体が慣れるということです。ですので、接心もできるだけフルの日程で参加するほうが良いかと思います。
ちなみに結跏趺坐の方が半跏趺坐より膝(knee)は傷めにくいです。
できれば、結跏趺坐に慣れたほうが膝(knee)にとっては負担が少ないので、おすすめです。
初めて坐禅にトライした人は、この組み方で、「どこが、坐禅は安楽の法門なんだ」と云いたくなります。
最初スポーツにトライした時、身体が思うように動かなかったり、身体の一部が後からすごく痛くなったりするのと同じです。
脚も、最初から組めるわけではなくて、半跏趺坐を両方組み替えながら身体を柔軟にしてから組めるようになります。
身体の出来栄えで最初から組める人もいます。
わたしの弟は子供の時から結跏趺坐がラクラク組めます。ただ一度も坐禅をしたことがないですし、今後もしないように思います。
若い人には最初から結跏趺坐をおすすめします。
なお、普勧坐禅儀には、結跏趺坐にしても半跏趺坐にしても最終的には左脚が右の上になるようにと書いてありますが、これは逆にされてもいいです。
永平寺の雲水さんも坐禅会でそう説明していますし、老師方もそう言われています。
接心のような長期坐禅の場合は、入れ替えて使うと身体のバランスのためにもいいですね。
古来の経験から身体にとって一番ラクで負担がないのが、結跏趺坐だと仏教以前の瞑想の時から採用されて来ているのです。
ただ、現代の日本人は畳生活をしなくなっているので、難しくなって来ているようです。
西洋の方々は、それでも坐禅を組む時は、結跏趺坐にチャレンジしてみる方が多いです。
最初から安易な方に流れてあぐらを組む人は坐禅中に居眠りをしているように思います。
椅子坐禅の時のポイント
椅子坐禅はとにかく寒い椅子坐禅でも本当の坐禅をするには差し支えありませんが、ただ、寒いですね。下半身が冷えます。なので、自宅で椅子坐禅をされる時に寒すぎる場合は、薄手の寝袋を下半身に履くようにすると暖かいです。
それから、背もたれには寄っかからないように、両足は床につけてすると結跏趺坐・半跏趺坐に近くなります。
※膝というのは、日本語では2つの意味があって、いわゆる膝関節の膝(knee)、解剖学的に言うと、大腿骨と下腿骨とを繋げる部分の関節である膝(knee)と、もうひとつは膝枕で使う場合の膝(lap)つまり太ももです。
ノートパソコンは和製英語で通じませんが、ノートパソコンのことは英語で
laptop と云います。膝(lap)の上に乗せるパソコンなのでラップトップです。
またの機会に、「1日5分で,傷めた膝を自力で治す方法」についてお話をいたします。
現代に生きる悟りを開いた人という記事を読む